
素敵な作品をありがとうございました。
皆様の作品は下記にてご覧頂けます。
《11月30日発表!!》
木蓮賞が決定致しました。
下記をご覧下さいませ。


今回の応募作には秀作が多かった。いつもに比べて佳作が多いのもそのためだが、本賞も回数を重ね、応募者の作品にちからがみなぎっているのを感じる。
詩にはさまざまなはたらきがある。一つの言葉の意味を探究することができ、瞬間の光景を捉えることもできる。また、未定型の感情に姿を与えるのも詩の重要な役割である。だが、もう一つ、詩は物語を容れる器にもなる。
今回の受賞作は、そうした詩のはたらきをじつに見事に表現した作品だった。詩に物語がなければならないというのではないが、詩と物語が融合するとき、先に挙げたいくつかのはたらきは、必然的に内包されることになる。
物語が生まれるところには、色や熱、あるいは香りの何かが描かれていなくてはならない。受賞作は月の光を描きながら、心情の熱を表現しているように感じられた。
佳作は6作選んだ。さらに多く選びたいとも願ったが、際限が無くなると思い、6作に絞った。どれも秀作だといってよく、今回の受賞作がなければ佳作のなかから何かを選ぶことにまったく躊躇を感じなかった。
佳作に選んだ作品にはいずれも意味の深まりだけでなく、象徴のちからを感じた。だが、佳作であるゆえんは、象徴のはたらきをなおいっそう深める余地があるとも思われたからでもあった。
月は、天体としてのそれだけでなく、闇における光の淵源として描くこともでき、また、内なる月を歌うこともできる。月影という言葉が月光を意味するように「影」は「光」と不可分の関係にある。「陰」もまた、陰陽という言葉があるように、それは光と熱の裏面でもある。
今回の主題である「月」も「陰」も、そのものを描写するだけでなく、それを意味的に深めて詩にすることもできる。
詩は、言葉によって編まれる。だが、言葉によってのみ編まれるのではない。そこに意味と象徴のはたらきが溶けあうとき、詩は人の知性だけでなく、感性にさらには霊性にすら響くものになる。(若松 英輔)

Q.この企画をどこで知りましたか?
A.「読むと書く」公式ホームページ
Q.選者の若松英輔を知ったきっかけは?
A.たまたまつけっぱなしになっていたテレビで、『生きがいについて』(NHK「100分de名著」)を拝見しました。
Q.普段から、詩を書かれていますか?
A.はい。日常のなかで出会う言葉や光景などに心が反応した時、詩の言葉が浮かんできます。
Q.何年くらい書かれていますか?
A.2年。「読むと書く」の教室に通うようになってからです。
Q.受賞された作品を書かれたときのことを教えてください。
A.雨戸を閉める時に見上げた夜空に、ひときわ大きな月が浮かんでいました。ふと、「まだ月と会話できるかな…」そんな思いが胸をかすめました。
子どもの頃は、いろんな表情を見せる月と無邪気におしゃべりを楽しんでいました。大人になり、月に話しかけることもなくなり、眺めるだけの存在へと変わってしまいました。「どうか、まだ魔法が使えますように…。」そう願いながらペンを握ると、小さな頃によく見上げた蜂蜜色の月から懐かしいリズムが聴こえ、言葉が躍りはじめました。
Q.受賞されたお気持ち、感想をご自由にお書きください。
A.驚きと戸惑いも感じております。
課題で書く詩とは違い、作品発表会の詩は自分で道をつくり、手探りしながら歩くような感覚で書きます。今回の詩は、その迷いから解放されて自由に書くことができましたが、不安も感じていました。
今は、よろこびを噛みしめながら、若松先生の一言を何度も読み返しております。
Q.ご自身にとって大切な1冊をあげるとしたら?
A.三浦綾子さんの「氷点」です。言葉と関係を深めるきっかけになった大切な一冊です。
木蓮賞受賞の若色茜様には、若松直筆の詩をお送りさせて頂きます。
なお、ご参加頂きました皆様には、参加賞をお送り致します。
次回のご参加もお待ちしております。


〈過去に行われた発表会〉